第109章 中野航平の悪口を陰で言っているところを聞かれてしまった

「栞、冗談はやめろよ」

石渡恭平は困ったように肩をすくめた。

「冗談って、何のこと?」

そのときだった。病室の入り口から、菊地瑠奈の声がふいに飛んでくる。

「……あんたも来たの?」

長谷川栞が顔を上げる。果物かごを片手に、もう片方に花束。両手いっぱいの菊地瑠奈が立っていて、栞は心底うんざりした顔になった。

「来ないわけないでしょ。あんた、ムカつきすぎて入院までしてるんだよ? 私が味方しないでどうすんの」

瑠奈は白い目を向けながら、荷物を置こうとして――そこで手を止めた。

栞のいちばん近くのテーブルには、すでに飲み物やら差し入れやらが山ほど積まれている。

「うわ、なにこれ。店...

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